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【1枚目】日野橋店「メイト」
【2枚目】日野橋店「コンパニオン」
【3枚目】鶴見店用


洋菓子店「不二屋」の関連会社「不二屋フードサービス」が「不二屋レストラン」の上位店としてかつて展開していたレストランである。
ロイヤルホストに対するシズラー、藍屋と夢庵、ガストとすかいらーくのように、客層に合わせて上位店・下位店を設定するのは珍しいことではないが、特に20世紀末はチェーン店でもさまざまなメニューを網羅した「ファミリーレストラン」から、特定の客層やメニューに絞り込んで特徴を出した店へと移行する動きが顕著であった。そんな中で登場したのが「ブロンズパロット」で、当時流行していたイタリアンをメインとしたレストランであった。「ロードサイドレストラン」という肩書きもあり、その名の通り車で行くことを前提とした主要幹線道路沿いの立地で、列車の駅からは遠かった。
店内は傾斜地を利用した雛壇状のフロア構成になっており、南国リゾートを思わせる雰囲気の内装、十分に間隔が空けられたテーブル配置、フロア最下層に配置されたピアノなど、一般的なファミリーレストランとは一線を隔する高級感のあるお店であった。鶴見店はそれに加えて平面フロアが併設されており、日野橋店よりも大きな店舗だった。
当初は5ないし7店舗が存在していたという未確認情報もあるが、筆者が存在を知った1998年時点では東京立川の日野橋店と、横浜鶴見区の鶴見店の2箇所のみとなっていた。もともと実験的な店舗だったようで、店舗数は減ることはあっても増えることはなかった。現在はいずれの店舗も閉店しており、現存しない。

イタリアンレストランと銘打たれたお店で、メニューはパスタやハンバーグステーキなど不二屋レストランとも共通点が多かったが、サラダバーがあったりカクテルなどのアルコールメニューが豊富だったりと独自の部分も多く、ハンバーグを切り分けてソースをかけてくれるといったようなテーブルでの付加サービスもあった。
価格は単品1000〜2000円、セットメニュー3000円程度。前菜やアルコールを含めたコースで5000円程度だった。

お店ごとに制服も異なっていたようだが、筆者が確認できたのは当時営業していた日野橋店と鶴見店のみである。
制服マニアの間で話題となったのは日野橋店のもので、大きなフリルがついた独特のブラウスと赤(厳密にはエンジ色〜えび茶色)のミニスカートで構成されたアイドル衣装のような装飾性の高いもの(「メイト」と呼ばれた)であった。一般的な飲食店の制服とは隔絶したデザインは、マニアの間ではアンミラの対抗馬として神戸屋と並んで注目されていた。ただし、年配のスタッフに配慮したためか、落ち着いたデザインの別制服(「コンパニオン」と呼ばれた)も併用されており、しかも年々そちらの割合が増えていたようである。メイトは調達コストが高いため汚損して数が減っても補充されなかったのではないかと言われている。あまりに「メイト」の目撃例が少ないため、1999年時点では制服マニアの間で「幻の制服」とも呼ばれるほどであった。
鶴見店の制服は日野橋店のものと比べると飲食店然としたデザインであったが、大きめの緑のリボンがよく目立つ、それなりに可愛い印象のものだった。

場所が都心から離れた立川で、しかも付近に駅がなく車が必須という立地のため、なかなか訪れるのが難しいお店であった。しかもお目当ての「メイト」は数が少ないため、見るのはさらに難しかった。日野橋店には3回行くことができたが、メイトを目撃できたのは1999年夏の初訪問のときだけである。余談だが、そのときは都心から日野橋へ移動した直後に台風による大雨の影響で通行止めが発生し、コミケ時期に特有の大混雑を避けることができたのを覚えている。なお、その日は横浜の神戸屋で朝食、八王子の馬車道で昼食、立川のアンミラでお茶をして夕食にブロパという空前絶後な大冒険を行っている。同年冬には立川店と鶴見店をハシゴするという冒険も敢行したが、再びメイトと再会することはできなかった。日野橋店が閉店したのはその翌年のことである。


2014.11
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